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【フリー】調整時に狙いたい成長期待銘柄として注目

▽市場平均予想(単位:百万円)

※株価8,150円(2020年11月16日現在)で計算
※市場平均予想とは、予想を出している証券会社の予想の平均です。

目次

  1. 会社概要:クラウド会計ソフト「freee」を柱にバックオフィス領域の生産性向上を支援
  2. クロスセルチャンスの多いストック型ビジネスモデル
  3. 業績:顧客増各種施策が奏功、大幅増収と大幅赤字縮小を達成。ARR、売上高ともに49%という高い成長
  4. 【総合評価:☆☆☆☆】中長期的成長を見据え、調整時は狙いたい

1. 会社概要:クラウド会計ソフト「freee」を柱にバックオフィス領域の生産性向上を支援

バックオフィスの生産性向上に寄与するクラウドERPサービスを総合的に展開しています。

柱となる事業は、「クラウド会計ソフトfreee」。中小企業・個人事業主向けのサービスで、請求書など従来手入力が必要な取引情報を自動化し、経理や決算業務の効率化を支援する内容となっています。
(具体的には、例えば、銀行口座やクレジットカードとデータ連携することで、リアルタイムで入出金を記録し、自動で勘定の仕分けをしてくれるなどの機能があります。)

この「クラウド会計ソフトfreee」は2013年のリリースから順調にユーザー基盤を拡大させ、2018年3月には導入事業所数が100万を突破しました。総務省によると事業所は国内に約600万存在するので、これによると、日本の6社に1社が「freee」を使っていることになります。リリース以降、国内クラウド会計市場(従業員数300名未満の企業・個人事業主)ではトップシェアを維持し続けています(2017年度では35.2%)。

同社はこのクラウド会計ソフトを主軸に、勤怠管理や給与計算などを行う「人事労務freee」、会社設立に必要な書類をオンライン上で作成できる「会社設立freee」、会計事務所向けの税務申告ソフト「申告freee」、福利厚生制度の導入に係るバックオフィス業務を効率化する「福利厚生freee」などを展開しています。

ちなみに「freee」はクラウド給与計算ソフト市場で約40%のトップシェアを獲得しています(MM総研調べ、2016年3月より)。

2.クロスセルチャンスの多いストック型ビジネスモデル

これら製品は、データ連携することで付加価値が高まる構造となっていることが注目されます。

というのも、例えば「資金調達freee」や「開業freee」、「会社設立freee」の利用後、「クラウド会計ソフトfreee」や「人事労務freee」などほかのツールを使うという流れが創造されていて、クロスセルや継続利用の基盤となっているからです。

同社の主な収益源は、顧客からのサービス利用料。サブスクリプション売上比率が90%を超える正真正銘のSaaS企業です。ストックとなるユーザー基盤は拡大を続けており、有料課金ユーザー数は、2018年6月期末の11万5,808件→19年6月期末の16万132件→20年6月期末の22万4,106件→21年6月期の第1四半期末には23万件を突破しました。

このユーザー基盤上で、クロスセルやアップセルが見込める収益構造となっているのです。

そのため、ARPU(1ユーザー当たり平均単価)は18年6月期末で2万5,786円→21年6月期の第1四半期末で3万6,645円まで大きく上昇しています。一方、12ヵ月平均解約率は2.2%(18年6月期)→1.6%(20年6月期)まで低下しています。

この結果、ARR(毎年決まって得られる収益:年間経常収益)は18年6月期末の29億8,600万円→19年6月期末に52億7,300万円→20年6月期末には78億9,800万円まで拡大。同時に売上高はCAGR(売上高年平均成長率)70%で拡大しています。

また、同社のサービス料金は、1社当たりの使用料に加え、1ID当たりの料金(ユーザーにIDを付与している)も設定されており、企業が成長して従業員数が増えるほど、自然と単価が上がる形となっています。

(ちなみに、個人事業主や小規模企業だった顧客が上場を考えるまで成長している、という事例もあり、同社はそうした企業の成長に合わせ、2017年に「創業から上場まで使えるfreee」として「エンタープライズプラン」をリリースしました。このプランは2019年時点で、有力スタートアップと呼ばれる未上場企業で資金調達金額トップ100社のうちすでに41社が利用していると言います。)

ALTalkの指標を見てみると、web訪問数はこの半年だけでも右肩上がりで増え続けています。

ALTalk「フリーの指標」より

3.業績:顧客増各種施策が奏功、大幅増収と大幅赤字縮小を達成。ARR、売上高ともに49%という高い成長

2021年6月期第1四半期の業績は、ダイレクトセールスの組織拡大や金融機関などとの連携強化、主要サービスの機能改善などが奏功し、売上高は前年同期比49.2%増の22億2,500万円に大幅拡大しました。

こまかい指標について見ると、第1四半期のARR(各月末時点における継続課金ユーザーの月額料金の合計額×12ヵ月)は、前年同期末比49.0%増の85億5,000万円となりました。

ARRを分解した有料課金ユーザー企業数とARPUについても右肩上がりで成長を続けています。

第1四半期末時点の有料課金ユーザー企業数は、個人とSmallセグメントを中心に堅調に増加し、前年同期比39.0%増の23万3,341件となりました。

一方、ARPU(有料課金ユーザー当たりの平均単価)は、7.2%増の3万6,645円となりました。単価成長が鈍化したようにも見えますが、これはMid層のセールスサイクルが長期化していることや、単価の低い個人事業主・Smallセグメントにおける顧客増が好調に推移したためです。

売上総利益は51.4%増の18億300万円、売上総利益率は1.2%ポイント上昇して81.1%となりました。同社は個人事業主およびSmallセグメントの顧客増に対応するため、この1Qからカスタマーサポートのキャパ増強に着手しました。この影響が利益面に出るとの懸念もありましたが、増収効果が大きかったことに加え、完了したキャパ増強が限定的だったため、粗利増を維持することができたようです。

そして営業利益以下については、引き続き赤字です。ただサブスクリプション売上が順調に積み上がっていることから、赤字幅は縮小。営業利益は2億7,200万円の赤字(前年同期は4億8,600万円の赤字)、経常利益は2億6,800万円の赤字(同4億8,800万円の赤字)、純利益は2億7,100万円の赤字(同4億9,000万円の赤字)となりました。

なお、株式報酬費用とM&Aによる無形資産償却費用などを差し戻した調整後営業利益は2億6,900万円の赤字(前年同期は3億9,500万円の赤字)、調整後営業利益率は、前年同期から14.4ポイントの大幅な改善を達成しています。

いずれの利益段階においても赤字幅が大きく縮小しており、改めて事業の好調が確認されたと言えます。

通期計画については、売上高と調整後営業利益のみの開示となっており、売上高は前年比40.1%増の96億5,700万円、調整後営業利益は22億1,200万円の赤字の見込みとなっています。第1四半期の売上実績は通期計画に対して過達ペースとなっており、営業損益では引き続き赤字の縮小が見込まれます。

4.【総合評価:☆☆☆☆】中長期的成長を見据え、調整時は狙いたい

赤字経営ではありますが、自己資本比率は74.1%、有利子負債はゼロ。さらに現金等に約150億円保有しており、流動比率は約3.8倍と非常に強い財務基盤を持っています。

同社は上場前から、クラウド型会計ソフトという成長ポテンシャルの大きさが海外機関投資家を中心に評価され、ベンチャーキャピタルや企業から広く資金を調達することに成功しました(現在でも株主の54.9%を海外機関投資家が、11.1%を国内法人・機関投資家が構成する機関投資家比率の厚い株主構成となっています)。その資金を基盤に成長投資を続けています。まだ成長投資が先行している段階のため、赤字経営が続いている状態です。

一方、機関投資家の見立て通り、事業基盤は着実に拡大。売上は2015年6月期から2019年6月期までの4年間で、CAGR(売上高年平均成長率)が100%を超えるなど、高い成長を遂げています。

足元の業績では、赤字幅が大幅に縮小するなど、良い兆候が確認されており、引き続き、成長が期待されます。

現状、中小企業や個人事業主のバックオフィス領域では、大半がオンプレミス型やインストール型のソフトウェアが使われているとされますが、昨今のデジタルトランスフォーメーションの流れから、会計ソフトや給与計算ソフトも他の領域のようにデジタル化されていくことが予想されます。

実際、国全体でデジタル化の流れが強まっており、例えば今年(2020年)度から青色申告を電子申告で行えば10 万円の所得控除が受けられるようになりました。この事例だと、同社製品は直接申告ができるというかなり利便性の高い特徴を持っており、デジタル化の恩恵を享受する立場にあります。こうした手続き上のデジタル化の流れは今後一層強くなることが予想され、同社の中長期的な成長ポテンシャルは大きいと言えます。もちろん他社製品からの乗り換え需要も獲得していく構えで、主軸の「クラウド会計ソフトfreee」を軸にバックオフィス領域全体の業務効率化につながるさらに利便性を高める製品を開発、発売しています。

2012年の創業来、クラウド会計ソフトをはじめとする業務効率化サービスを提供して成長を遂げてきた同社。2018年には企業ミッションを「スモールビジネスを、世界の主役に。」に、さらには「AIが中小企業のCFOになる」と宣言し、2019年には「資金繰り改善ナビ」をリリース。バックオフィス領域を繋げて企業成長に導く企業を志向しているよう。

最近では、エンタープライズプランの成功やAPI開放など、企業間取引の領域にも進出しており、ターゲット層の拡大もトップライン押し上げに寄与していくことが期待されます。マネーフォワードと競合しますが、請求書や経費精算と一気通貫でデータがつながることで、自動的に会計帳簿に必要なデータが集まり、逆に会計帳簿から一つ一つの取引のレベルまで遡って分析をしたりもできる統合性が武器となりそう。

株価ですが、2019年の12月にマザーズ市場に上場を果たして以降、IPO銘柄としては急騰後急落するということもなく、右肩上がりで推移しています。ただ、PSR(株価売上倍率)は40倍を超えており、過熱感は否めません。


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参考資料

2021年6月期 第1四半期 決算説明資料

2021年6月期 第1四半期 決算短信

By グローバルリンクアドバイザーズ(株)代表取締役社長

早期に中国市場の潜在性に着目し、中国株への投資を開始。全国の個人投資家向けにインターネットを通して中国株の情報発信を続け、中国株のオピニオン・リーダーとなる。2001年に外資系証券会社傘下の投資顧問会社に取締役として移籍、2005年に同社を買収。現在は日本株、中国株、米国株など投資情報の発信やファンドを運営するとともに、各メディアで積極的に投資情報を発信している。フジテレビ「バイキング」などテレビ、新聞・雑誌・出演・掲載多数。

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